DARK ROOM
松岡 湧紀
メディアアーティスト |日本
OTHER PERSPECTIVE
DETAILS OF THE WORK
AWARDS 2019 FINALISTS
”暗い部屋”を意味するカメラ・オブスクラは、写真技法の前史として位置付けられることが一般に多い。しかし、映像を定着させる写真術と異なり、カメラ・オブスクラは映像を作りだすだけの装置である。そして、長い発展の歴史を経ながらも、ある時期からこの光学機器は絶滅しかかっている。だが、写真を始まりとしたメディアが先行する現代において、ベルント・シュティーグラーが引用する形で指摘するように、私たちの頭の中にカメラ・オブスクラはインストールされてしまったのではないだろうか。 いまや暴力的なイメージの洪水に晒され続けている一方で、テクノロジーが可能にする世界との「見ること」を介した関係構築はより先鋭化している。今夜も暗い部屋の中、スマートフォンの画面上で大量に流れ続けるイメージを眺める。だが、ヘッドマウントディスプレイという暗箱を、レンズを、その先の映像を覗くことで、かつてカメラ・オブスクラが構築した世界と私たちの指示関係が、再び取り戻されるかもしれない。
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CREATOR PROFILE
松岡 湧紀
メディアアーティスト |日本
1991年生まれ。東京を拠点に活動。世界との「見ること」を介した関係構築について、テクノロジーがどのような影響を及ぼすか思索している。
FEATURING WORKS
ファッション・音楽・映像・グラフィック・イラストレーション...etc
同時代のリアルな感覚を共有できるアーティストとともに創造する新たなカルチャー体験の作品群。